1970-01-01から1ヶ月間の記事一覧

雪の前触れの

目を上げて飛び込んできた景色はがらんと広くてこことの距離を失った。砂浜に打ち上げられたみたいな枯れた枝が組み上がっていて、ただそれは砂浜ではなくて道の傍にあったというだけだ。からだの大きさが擦り合わなくて何か不安になる。エドワード・ゴーリ…

0:50

いつでも中心に結びついているそして同時に反対のことを噛んでゆく近道のことはもう考えないでもそれは道なんかわからないからにすぎないけど手探りでもない、目も見えている、目印の小石は風にすら動く確かなのはまんなかの気配だけでも怖くないし、それを…

水盤、新しい通り道

読んでいる本の最初の一編につかまれてなかなか先に読み進まないでいる。その島の神は岩の中の掘った水路を通って神殿の地下の水盤をうつ水が砕ける、音そのものなのだという。昨日新しいからだの通り道を知った。どうも窮屈になる肩を今までどうやって楽に…

町境の橋

もう少し進めるはずつかんでいる手は冷たいけれど、足元には川が流れていると思えばいい遠くに映るけれど水面まではその半分なのだからどこまでを橋の裏と呼ぶんだろう階段の裏はどこに通じるの手の中ではひとつながりなのに実際は一歩も動けないことになる…

1/2

月が半分の今、ちゃんと自分の中身を整理する時間なんだろうという気がする。受け入れてきたものを見つめて、そこから掬いとって、いったん空っぽになるまで出し尽くさないと。真新しいことばかりに手を染めようとしてそこから飛躍を求めるばかりではなくて…

夢/駅をつなぐ古いトラック

6時くらいにぱきっと目が覚めたのでそのまま起きていればよかったのに二度寝してトラックに乗る夢を見る。おっちゃんはコンクリートミキサーがあと72台も残ってるとぼやいていた。トラックは違法な改造をされていてわたしはありもしない南国分寺という駅…

マイケル・オンダーチェのこと

マイケル・オンダーチェの本を読むと思うのは、どうしても忘れられないひとや記憶とは切り離せない自分をいつも影みたいにかたわらに置きながら、それでもまったく別の時間の中を歩かなければいけないということで、それは懐かしいみたいにかなしいけれどだ…

鳥取・福岡・神戸/大雪の日

いちばん雪が積もった日、神社への階段が消えた 風で小さな雪玉がだんだん育ってゆくのをみた

写真のみかた、中平卓馬『Documentary』

中平卓馬『Documentary』を見に行った。カラーはなにか、実際のそこの気温よりも高い感じではみ出ている気がした。選ばれたことに被写体は居心地の悪さを感じてはいない。でもなんかちょっと意外な姿でそこにいるかんじ。意外な切り口、なのかなぁ。水分と温…

ステレオ、寝床ができたはなし

言葉も行動もそのタイプで分けてそこに貼りつけてしまえばひとのこころの動きになんてそんなに数はないような気がしてしまうそれは自分の窓がそれだけの数だということともつながるし、だとしたら実際に、現実を前に、それがわたしにとってのすべてなのかも…

うみのそこ

なんにせよ作品の良し悪しというものを今のわたしはそのひとがどこまで究極の点まで行って、そしてかえってきたか、みたいなことで感じているような気がする。その、点、というのは形式とか主張のようなものではなくて(そこを通らなくてもいいというわけでは…

佳子のこと、そのまわりを

佳子とは前回いつ会ったんだろう?2年前?1年半かな。夏休みだったから1年半か2年半か、そのくらい前。ふたりして版画を見て『海のふた』を買った時だっけ?もう一度そのあとカフェでさよと3人で会った年があったんだっけ?ふわふわと迷っていた部分が…

砕けるほど

案外わたしは器用じゃなくて、今いちばんの大事ごと以外のことはまったくできないみたい。器用じゃない、どころじゃないな。不器用のなかの不器用だ。どうして今まで自分を騙してこれたんだろう?ニューヨークで体調を崩したばかりなのにまた高熱が続いて、…

04:33

ある日記をさかのぼって、そういえば今年は季節外れの台風がきたんだっけと思い出した。その時舞台の真っ最中で客足のことは心配したけれど、いつも嵐を待つときに過ごす気持ちの加減をまったく通らずに過ぎたことに気づいた。どうしてかわからないけれどふ…

夢、今日は本番。

夢を見た。芝居時代の仲間といた。思い返してそこで気付いたことに、なんだか胸が痛くなった。強い雨が降ってる。明け方は静かで明るくなる兆しがあったから、もしかしてこのまま止むんじゃないかと思ったのに。+今日は舞台芸術祭の本番。リハーサルを雨が止…

SOUR '日々の音色'

深夜番組で紹介されていたたのしいPV。こんなことやりたいな。

『遠い朝の本たち』 須賀敦子

たいせつなエッセンスがつまっていた。星野道夫さんの本で知って読みたいと思っていたアン・モロウ・リンドバーグのことが再び出てきたし、テグジュペリの飛行機から見るひとのいとなみの話も。ある断片がこころに残っているときに、そこにすっと繋がるなに…

『イギリス人の患者』 マイケル・オンダーチェ 

はじめて読んだのは何年前だろう?詩みたいだ、と思った。どういうものを詩と呼ぶのかいまもってわからないけれど、そう思った。色や匂いや温度、それからそういう抽象的なものじゃなくて、湿った草や土の味、透明な闇を縫う光、ひとの香り。そういう具体的…

『ミチシルベ』

とても不思議なご縁でTHE ROYAL CROWNのCKさんというミュージシャンのかたとつながることができました。近々発売される新曲のジャケットに私の写真を使ってくださることになったのです。たまたまCKさんが選んでくださった写真が走る.jpのHPのために撮…

ロスコのこと、メモ

art

ロスコから色んなことを感じてぽつぽつとメモしている。決して開くことのない窓を備えた壁美術館でロスコを眺めたときに、そのさびて崩れそうな柱の隙間をなんとかぬってくぐれないだろうか、とこころみた。けれど自分のからだが本当に薄く、2次元にならない…

小林賢太郎、田中泯、カストロ、ポロック

小林賢太郎テレビを見た。ひらめいたり生み出したりするところを見られて良かった。「今でもひとを笑わすことに憧れている」というようなことを言っていて、静かに納得。メゾン・ド・ヒミコの田中泯さんに魅せられた。泥だらけな泯さんしか見たことがなかっ…

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』

ジョン・レノンが赤ちゃんのようにオノ・ヨーコに抱きついている写真で有名なアニー・リーボヴィッツ。ジョンのこの写真が有名なのは、これがジョンの亡くなる4時間前に撮られたからでもあるけれど、でもこのDVDを見て、あの瞬間の持つつやつやとした特別な…

『エル・スール』 ビクトル・エリセ

気づくと画面には切り取られた青いひかりがあって、だんだんそれが明けてゆく夜だと気づく。瞬くことも惜しんでその色を見つめる。私もこの景色を知っている。シーツの波が青白く照らされ、女の子の寝室なのだということが分かってくる。吼える犬、冷たい朝…

『ミツバチのささやき』 ビクトル・エリセ

ここ何年かずうっとときどきこころ惹かれていた映画。だっていろんなひとがこの映画を大好きだって言うんだもん。ついに見た。映像の質と色がとても好きだった。構図に新鮮な驚きのようなものがあった。いかに切り取るか、ということを私はたぶんよく意識す…

アネモネを贈る、獏、車中ナンパ

ひとりの転職をきっかけに久しぶりに前の職場のみんなが集まる。誰か贈りものを用意しているのかわからなかったので途中花屋さんに寄り、小さな花束をつくってもらう。赤と紫のアネモネに白いバラを一輪。バラがアネモネを霞ませてしまうんじゃないかと思っ…

ダダ星人にしかみえない

何年か前、新宿のど真ん中に突如出現した、新モード学園。 わたしにはダダ星人にみえてしかたがない

『セリーヌとジュリーは舟でゆく』 ジャック・リヴェット

好きなレヴューを書くひとがこれを好きだと書いていてずっと見てみたかった。家族と見始めたらお母さんもお父さんも退屈してしまって眠り込んだので一旦は断念。今回は私ひとりで見た。このところ『フェアプレイ』を読んでもりもりと、友達と家をシェアして…

『ナイン・ストーリーズ』 サリンジャー

読んでいても他のことばかり考えちゃう本がある。なかなか集中できない本というのとはまた違って、どんどんどこかが鋭敏になってきてそちらに気をとられるような。立ち表れた感覚の方に意識が飛んでしまって、一度止まったり思いをめぐらしたくなるような。…

『海のふた』 よしもとばなな

よしもとばなななんていつ以来かな。高校生の時か。大学生のときか。胸をきりきりさせながら読んで、彼女の影響でスティーブン・キングも好きになったのにいつのまにかすっかりそこから抜け出てしまった。あまりにも甘く、直截的でセンチメンタルにすぎる。…

『少女ソフィアの夏』 トーベ・ヤンソン

弟のラルフ(ムーミンの漫画を描いている)の娘ソフィアとおばあちゃんをモデルとした話。長いながい夏休みを小さな孤島で過ごす、ひと夏。永遠のような冬を終えて島はいのちやその残りで溢れている。立ち枯れた乾いた幹や蔓、苔が地面を覆い、隙間を埋める…