7月23日から8月4日の日記

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7月23日
同じことの繰り返しが苦手だ。
例えば片付けや掃除、三度の食事。
一度完成させたのにまた不完全な状態に戻ってしまってまたある程度のところにもってゆかないといけない、そのことにとてつもなくうんざりする。生きている限りずっとこのことに時間を費やさざるを得ないということに。
かといって冷静になってみればその作業自体が嫌いなわけではない。取り掛かってしまえばただ没頭するだけでその時間や感覚を楽しいものとできる。問題は体をそこに投入するまでだ。これが一生続くのかと思うと途方も無い気持ちになってしまう。

でもそういえば指圧の仕事はそういう意味でうんざりしたり飽きたりすることがないし、これからもなさそうだと思った。
ストレッチや稽古も飽きたりしないことと似ている。
どういう手順で何をやるかが問題なのではなく、その時間の中の微細なことを聞き分けようとしているからなのだと思う。
ある山を登るにしても、どんな名前の何メートルの山であるかということよりも、今靴の下にどんな大きさの砂利があって、どんな湿度の土があって、どういう草を踏んでいるか、そのことを主に見ている。
だからまた同じことをするにしても、この間と同類の山を登るのだとも思わない。
きっと腰をあげるまでは嫌だなと思っている事柄しても、実際動き出してしまえばそんな風に焦点が絞られているんだろう。

細かい差異にだけ集中できるのは良いことではあるけれど、山を降りてしまえば山の全体像が分からなくなるので、毎回初心者のような不安が胸に残る、というのはある。またあんなに集中しないとやりとげられないのだろうか?どういう順番でやったか私は覚えているんだろうか?反省をしようにも、その瞬間しゅんかんに対応して舵を切って行ったから、次も同じようなマニュアルが利くわけではない。
そういう、何かが積み重なっているのかを疑うような気持ち。

 

8月2日
移動が増えるだけで一日にできることが減ってしまう。
掃除を犠牲にしたり、メモしながら考えることやフランス語を犠牲にしたり、その日によって削ることはいろいろだけれども、その中で本を読むことをつい優先してしまう傾向はある。本を読めない時期を脱することができそうなのが嬉しくて。

今日は例えば日本にいる方とも一緒に読めそうなフランス語の読み物をネットで探してみたのだけれどなかなか難しいな。フランス語版青空文庫のようなサイト(https://www.ebooksgratuits.com/ebooks.php) もあるしこの国には掘ろうと思えばいくらでも掘り当てられるくらいアーカイブが豊富なのだけどその情報をさばけるだけの語学力がない。マニアックなアーカイブも多くて、古書を全ページスキャンしたようなものも多い。これにただでアクセスできるのは贅沢だなあとも思いつつ、それだとちょっと読みづらいかもしれない。
 日本にいる方とも一緒に読めるという趣旨からは外れてしまうけれど、フランス語の本をたくさん読んで感想を書き、区分してくれているブログがあった。
https://bibliophilie.blog.fc2.com/
自分で多読ができるようになったら参考にしてみよう。

グカ・ハンの著作を近くの図書館で見つけた。7月は『星の王子さま』をSNSで繋がりのある方のちからを借りて読み切ることができたので、できるだけ読む習慣を途切らせないようにしたい。
 …そういいながら、村上春樹の読んでいない小説をお借りしてそれを一気読みしてしまっているのだけれど。

 

8月3日
8月のストレッチ企画、2ヶ月目なので参加くださる方もがらりと変わるかもしれない、登録解除される方も多いんじゃないかな…とちょっとだけどきどきしていたのだけれど(いや、始まる前にはこんなに多くが参加くださるとは思わなかったのでがっかりする必要もないはずなんだけど)ほとんどの方が続いて参加くださっていて嬉しい。
こうして一緒に習慣を続けたいと考える方は多いのかもしれないな。私が『星の王子さま』を読み終えるのを助けてもらったように。
夏休みが終わっても、ほそぼそと続けようかなとも考え中。新しい動画を時々見ていただけるような仕組みを。まだ思いつきの段階。

今朝起きたら寝違えていて首が痛い。
マッサージと強めのストレッチでだいぶ良くなったけれど。いつの間にか変な格好で寝てしまったのだろう。
ちょっとだけピアノの練習をしよう。音にのめり込む時間が好きだから。

 

8月4日
職場からの帰り道、パリ北駅の正面を横切る道路を自転車で通る。
その道はタクシーで道端がうめられている。マゼンタ通りから折れてすぐは一方通行なのでほんとうは西から東へは抜けられない。でもほんの短い道だし、タクシーが停まっているだけの道なのでゆっくり逆走する。
北駅正面はバスも通る太い道だがここには東へ向かえる道が並走しているので問題がない。
そして途中からまた一方通行になっている。
つまり正式に西から東へ抜けたければ正面の道以外はコの字型にひどく遠回りをしないといけない。
ただ、その道の最後のほうには自転車道であるラインが消えかけではあるが残っているので、通って良いのだと思うことにしている。
タクシーは自転車道を無視して真正面から私に向かってやってくる。自転車道であることを示してももちろん無視される。
パリの道路では人間のあらゆる視野狭窄を観察することができる。