計算できる読書時間、庭を縦切りにする

『La fin des temps(世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド)』、計算士のライバルたちとやみくろが結託しているという話を聞くところまで。
どんなに頑張ってもこれ以上速くは読めないのであとはどのくらい読んでいられるか(自由時間の都合と頭の体力の都合)によって進み具合が決まる。
日本語の本でも読む時の速さはだいたい決まっている。3段階くらいあるかな。つるつると読めてしまうものと、染み込むように読むものと、あとは難しくてたじたじとかじりつきつつ読むものと。
村上春樹の文章がふと頭に蘇ってくるから、子供時代に繰り返し読んだものは忘れないんだなあと感心する。


読むのに疲れて椅子の背に頭を載せて空を見ていた。
夕方になって(と言ってももう8時だが)雲霞が夕日にきらきら照らされている。その上を、または私の顔のすぐ近くをそれよりちょっと大きな虫が勢いよく飛んで、引き返す。体の小さな鳥がどこからか空を遮っている枝にとまり、今度は鳩がやってくる。その間にもいろんな虫がいろんな軌道を描きながら庭の上空を行ったり来たりする。空のうんと高いところをなにかの鳥が飛んでいる。ゆっくり、一日の終わりみたいに。気づくとはるかに飛行機が雲を引きながら交差する。
空にはいろんな層があって、いろんな生き物が棲み分けをしたり、一緒にだったりしながら、行き交っているんだな。
メレンゲみたいな甘そうな色をした雲がゆっくり空を覆いはじめる。