渡りの途中



ムクドリが渡ってきてから2週間ほどになる。
春先にきこえていた虫の声がすっかり遠くなる。
ムクドリに食べられてしまうのか、それとも一晩中の鳴き声にかき消されているのか。

鳥たちはお互いの声に触発されてかっかとして、全然眠っていないように思える。
あれだけの群で動く鳥というのはつがい単位で生きるちゅんのような鳥とはまた違う種類の生きものなのかもしれない。
サメと、いわしみたいに。

いつだったかの夏、あまりムクドリが多くて道の端に羽毛がつもったことがあった。
鳥のにおいってやっぱり独特で、そしてセミがまったく鳴かなかった。

いつからここが中継地点になったんだろう。