金色の毛並みと骨、VISA、Fabrice Hyber La Vallée

『La fin des temps(世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド)』を読んでいる。
まとまった時間が取れないと本を読む心構えができないこのごろなので、フランス語の本だと余計にそうで、ましてやこの本は分厚いので歩きながらとか寝転びながら読むこともできない。つまり、なかなか進まないことの言い訳なのですが。
壁の世界のパートの出だしはこんなに印象的だったっけと久しぶりに思い出して、先日はそれだけでぱたんと本を閉じてしまった。あの美しい町。金色の毛皮に何度指をうずめ、乾いた骨を辿ったことだろう。
やっとそれぞれの世界のはじまりを(つまり2章分)読み終えた。先は長い。


メーデー。
町はデモ以外は静かだし、雨も降ったりやんだりなので、閉じこもる口実ができたようで嬉しい。

先週末、28日は滞在許可証ができたよと移民局から連絡があったので取りに行った。今まで必要のなかったレセピセも提出書類に含まれるようになったらしく、2往復するはめに。自転車で30分、ただの30分ではなくてパリでもしかしたら一番急なのでは?と思われるような坂を登る必要のある帰り道を2回も通ったのでへとへとであった。その坂、自転車を押すのにほとんどハンドルを空の方に押し上げるような体勢になる必要がある(40%割増で言ってる)。
帰宅してから、お声がけ頂いていたインタビュー(かな?)。私が今までに体験した不思議な話や怖い話、夢の話を聞いて下さった。初対面とは思われないほどリラックスしてわくわくしながら話すことができて嬉しかった。「この人なら大丈夫だ」と安心した人に対しては急に壁をはずして人懐こくなれる。なぜ「大丈夫だ」と思うのかはわからない。説明できないけれどとにかく。
壁をはずして人懐こく、とはどういうことなんだろうとふと思ったけれど、たぶん、ここでの自分の役割を定めて存在しよう、みたいな余計なことを考えずに素直にいられるということだと思う。
もしかしたら私の変な話を活字にしていただけるかもしれず、とても楽しみ。


昨日はカルティエ財団現代美術館でFabrice Hyber La Valléeを。

Fabrice Hyberさんは自分の農場をまさに文化の実験場のようなもの*1に耕していっている実践の方でもある。
絵も好きだったけれど、その実践や、そこから生まれた思考をもっと知りたかったなと余韻の残る展示だった。
『動いている庭』のジル・クレマンを思い出す。

*1:cultureはフランス語のcultiver(耕す)と関係がある