夢/30 avril 2016

夢。

母が弟をうんと叱っている。 弟はどうしようもなかった。虚無感から悪いこともすれば、何も食べずにずっと生活らしいこともしないでいることもあった。 とうとうたまりかねて母が弟をベランダに引きずっていっている。 弟はまだ10歳くらいだ。 服が首に引っかかって、首をつるようなかたちになっている。 私は2ヶ月も放置していた机の上の植物にやっと水をあげている。 土は乾いて砂のようになっているのに、植物たちは縮みこそすれ、まだ青く生きていた。 母がベランダから弟を放り出そうとしているのを感じて止めに入る。 弟は何も感じていないみたいな顔をしている。こんなことをしている母が一番傷ついていることを全然解っていない。 なんでこんなふうに怒られるのか分かる?と私もつい声が大きくなる。 わからないんじゃない、ちゃんと考えてないだけだよ。 「ちゃんとその頭で考えなさい」 弟の頭はいつのまにか小さなセルロイドの人形になっていた。 母は泣いている。 「本気で考えなさい」 私はひとりのひとを、どうにかできるとは思えなくて、だからとてももどかしくて真っ暗に悲しかった。 愛情のことを考えると、母を止めたときに切れた手のひらみたいに引き攣れていた。