Nori chan / のりちゃんのこと

23 février 2016

Ce jour-là, il faisait très beau. Mon ami et moi sommes allées à la butte Montmartre. Nous sommes entrées dans le Sacré-Cœur, nous avons regardé les devantures, j'ai indiqué à mon amie un magasin où l'on vendait de bonnes tartes. Nous avons mangé de la glace. C'est le première fois cette année. J'ai pensé « Le printemps est arrivé !! »

Je suis rentrée et comme à chaque fois, j'ai cherché le chat. Elle habite près de chez moi, mais je ne l'ai pas vue de tout l'hiver. J'étais très inquiète, je me demandais si elle allait bien. J'ai vu sa patte sous une voiture. Ça faisait trois mois que je ne l'avais pas vue. On peut enfin se revoir ! Voilà le printemps !! J'étais contente. J'ai appelé « Nori-chan », c'est le nom du chat. Elle semblait endormie. J'ai appelé encore une fois, puis j'ai regardé sous la voiture. Elle a ouvert les yeux. Ils brillaient comme deux miroirs. J'en ai eu le souffle coupé, j'ai touché sa patte. Elle était morte.

Malgré que le printemps est arrivé, elle était morte. Je suis triste. Mais c'est au moins une chance que elle a l'air paisible. Je suis sûre qu'elle a dû m'annoncer se mort. Si je ne l'avais pas regardé ce jour-là, je serais peut-être toujours en train de la chercher.

Elle m'a dit adieu.

その日はとても晴れていました。 私は友だちとモンマルトルの丘に行きました。 私たちはサクレクール寺院に入ったり、小さいお店を見て回ったり、美味しいタルトのお店を教えてあげたりしました。 私たちは歩きながらアイスクリームを食べました。今年はじめての歩きながらアイスでした。 「春が来たんだ!」と私は思いました。

私はいつものように猫を探しながら帰りました。 彼女は家の近くに住んでいるのだけれど、冬の間姿を見かけなかったので、ずっと彼女が元気なのか心配していたのです。 彼女の足が車の下に見えました。 とても久しぶり、3ヶ月ぶりでした。 ついに会えた!だって春だもの!! 私はとても嬉しかった。 「のりちゃん」と呼びました。のりちゃん、は猫の名前です。 彼女はぐっすり眠っているように見えました。 もう一度名前を呼んで、車の下を覗き込みました。 彼女は目を開けていました。目が鏡のようにぴかぴか光っていました。 私ははっとして、足に触れてみました。 彼女は死んでいました。

やっと春がきたのに、のりちゃんは死んでしまった。 私は悲しかった。 でも、のりちゃんがとても穏やかな様子だったことが救いでした。 きっと彼女は私に死を知らせてくれたのでしょう。 もしその日彼女を見なかったら、私はずっと、今日だってのりちゃんを探し続けたかもしれない。

のりちゃんはわたしにさよならを言ってくれたのです。


ぽかぽか暖かくなって、なんだか会える予感がして、そうしたら足がふたつ揃って車の下にあったから、 のりちゃん! と嬉しくて駆け寄った。 いつもはぎっしり車が停まっている道なのに、ちょうどのりちゃんのいる車の手前だけ2台駐車場が空いていて、だから遠くからでもその足を見ることができた。 寒い冬の間どうしてるのかなって心配していたのに、のんきに寝てるよ、のりちゃん。

のりちゃんがずっと瞬きもしないから、時間が止まったようになった。 からだもなんだかちょっと違う。 さっきから感じていた違和感の正体が分かってこわばった。 手がとどかないから枝を拾ってのりちゃんの足をくすぐってみたら、のりちゃんは動かなかった。

生きていると思って話しかけていたのに、生きてなかった。 びっくりして、そのままふらふらと家に帰った。 のりちゃん死んじゃった、と彼にメールをする。 しばらくしてすこしショックが収まってから、あのままあそこに置いてきてしまってよかったのか、最後に撫でてもあげなかった、と思ったらうんと悲しくなった。

夜はふたりでのりちゃんをおくる会をしてケーキを食べた。

のりちゃんはたぶん、私が呼びかけた声を聞いていたような気がする。 からだのかんじが、まったくいなくなったような感じじゃなかったから。

のりちゃんが死んでいた場所は私たちが初めて出逢った場所だった。 通る度に「のりちゃん」と呼びながらきょろきょろしている私のために、もういないけど心配しないでね、と、待っててくれたんだと思う。

死は、むかしのようには怖くない。 このからだや思考をいっさい失う死というもの、 もう会えなくなる、二度と、絶対に、永遠に、というその死ということが、むかしはとても怖かった。 でももう今はそういうふうには怖くない。

だけど、もうあの道でのりちゃんとばったり会えなくなったということは、 のりちゃんが遠くからとことこ駆け寄ってくるのを見られなくなることは、 やっぱりとてもさみしい。

(写真は去年あそんでくれたときののりちゃん)