懐かしいかもしれない場所、「海」をみて





とてもうつくしいものをみました。
終わって、去られるときになんだか胸に穴があいたような気持ちになるくらい、自分をその時間に接着してしまっていたのだと思う。
しばらく複雑な気持ちをかかえたままそこにある砂とか水とか鈴とかを眺めました。
ああそうか、海だけじゃなかったよここにあったのは、なんて思いながら。

品川は母が生まれ育った場所です。
品川神社のあの山でチョコボールを食べたそうです。
母はちいさいころから気難しかったのか写真はいつも眉間にぐっと深いシワを寄せている。
ときどきあのへんの商店街はテレビに出てきたりもするのに、ぶらぶらしたけれどなかなかお茶するところがなくて困った。
やっと見つけた喫茶店はたっぷりあつあつのパスタとサラダと飲み物と地元の方の会話が楽しいお店でした。


ここは私の懐かしい場所ではない。
でももしかして、何かひとつ違ったら私の懐かしい場所になったかもしれなかった。
でもそんな可能性とは全然別の時間の分岐を私もその場所も進んでいて、それでもときどきこんなふうに出会う。