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またいくつかのリハーサルがはじまったりセッションのようなことを進めている。
いつも思うことはこの瞬間に一緒に踊っているひとたちを撮りたいなあということなのだけれど、やっぱりそれは自分も真剣にリハーサルをしている以上なかなかかなわない。
撮りたいけどどうしても撮れないときの景色は写真に残したときとはまた違う感触で残るのだからそれはそれでいいんだけど。
昨日かおとといの夕方の空もあじさいのような綺麗な色で、かばんに手をやって写せるものがないんだと気づいてからしばらく見つめた。

あじさいというと、ひとりのひとを思い出す。
とてもやさしいひとで、でもほんとうはよく知らなくて、細い糸のようにそのことを話した。
会社に歩いてゆくときにいつも見つめていたのにある日突然切られて消えてしまった植え込みのことも思い出す。
覚えているのは私だけかもしれないと思うと、もういなくなってしまったあの頭を歩道に少し垂らしているあじさいとわたしだけの秘密がそこにあるような気がする。

丁寧に誠実に話そうとするやりかたがいつもその時にそぐうわけじゃない。
でも延々と体験したままを再現しようと話すからなかなか寄り道から戻れない。
いったいいつになったらぴったりと満たせたと思えるんだろうか。


明日と明後日ははじめての方とセッションをする。
いろんな発見があるはずだから楽しみ。