選別、風をふくむ



背骨で踊る。
これから向かう場所や時間だけじゃなくて通ってきたところも引きずって踊る。
苦手なところと、今こころが向かっているところがこうして稽古の中でもなぞらされることになる。
当然のことだけれど、また改めて、あっ、と新鮮に驚く。

17日からの展示のために写真を選んだ。
まだ絞れないけどこうして並べるとなにを自分が見てきたかがわかる。
3つのタイプに分かれた。
なにを写したいのかよくわからないけれどこころに引っ掛かって捨てられないもの、
ふと微笑ましい瞬間、
美しいと感じた光や影へのチャレンジ。
ひとを写したものはたいてい微笑ましい。
なにを写したのかわかるようになればいいのに。
その柱を太くするものはなんだろう。

踊る時と同じかもしれない。
いいな、という写真は、それを撮った瞬間の自分の状態をよく覚えている。
受けるものに揺らされすぎず、歯をやわらかく結んで見通している。
その対象と謐かに一対一で見合っている。
ただその美しさをかすめとるだけじゃなくて。


踊りは、その対象が自分のからだだし同時に空間だ(し、最終的にはお客さんかもしれない)。
意識があって、からだへのイメージがあって、実際のからだがあって、といういくつもの段階をすとんと糸で貫いて放つ。
レイヤー同士はただ密着してもいけない。
それぞれが空気を含んで、遊ばないと。
けれど糸がいつのまにか切れているようなこともダメ。
すべて目の届くところで、きちんと帰ってこられるところで。