『アルプスの少女ハイジ』 ヨハナ・シュピリ

友人が送ってくれた『アルプスの少女ハイジ』を読んだ。

私は物語がすきな子供であったのでたくさん本を読んだ。
毎週図書館に通って大きな棚の間をぬって歩き、面白そうな背表紙を眺める。だんだん、背表紙を見るだけで自分の好みの本が分かるようになってくる。
お父さんやお母さんの図書カードまで借りて、抱えきれないくらいの本を持って帰った。
目が悪くなるよって注意されると隠れてでも読んでいた。

本好きは今でも変わらないけれど、読む分野も変わらないのでちっとも大人になれない。


なのでこのお話はもちろん持っていて読んだことはあった。
フランダースの犬と母をたずねて三千里の間に置いてあったのを覚えてる。

なぜ大人の私にこの本なのか…もう私なんかハイジというよりはロッテンマイヤーさんだよ…と、目がしばしばしちゃったけど。
それに一緒にくれたのが『やかまし村の子供たち』だし、こないだは『かもめのジョナサン』だったという、小学生夏休み感想文が書けそうなラインナップ。
(どちらも読んだけれど面白かったし好きだった)

もちろん嬉しかったし本に大人向けも子供向けもないぞーって思っている。
友人からの私のイメージが心配になった…というだけの話です。


ハイジの天真爛漫さや、何にでもまっすぐ好奇心を向けるところ。
大切な景色や友達をいとおしみ、懐かしがる強い思い。
なにより、とてもとても優しい。
なんて可愛いのだ。
まっかなほっぺだし。
涙がじゃあじゃあ出た。

私もかつてはこんなふうに世界に対して積極的な子供だったのにな。
素直だったし。
もっとひとなつっこかったし。

ヤギのミルクがおいしそうだったこともチーズが食べたくなること、干草のかおりのベッドがうらやましいことも、小さな頃と同じだった。

でもちょっとショックだったのは、ペーターが記憶していたよりずっと粗野で、あんまり賢くなかったこと。
もっと、ハイジの良き友、みたいな感じじゃあなかったっけ?
弁当が余分にほしいからハイジの言うことをきいてる…みたいなかんじだった。
クララの車椅子を谷に落としたあとのびくびくも、罪悪感からというよりは動物が罰せられることにたいして見せる怯えに近い。
ハイジの利発さやまっすぐさに対してペーターはあまりにもかみ合わなすぎた。
そんなだったっけ?

おじいさんは記憶よりもずっと紳士だった。
ずっと、今回のオペラのマエストロをイメージして読んだからかな。


アルプスの少女ハイジ