静かでちからづよい変化



いつもの通り道の植え込みがいつもよりぴかぴか見えた。
雨が降ったからかな。
ひと同士は動けるから逢いにゆくことができるけど、植物は動けないからこうして私が歩いてこないと逢うことができないんだなあ、と思う。
しょっちゅう通りかかるわたしのことを、どのくらい覚えていてくれているんだろう。
いちばん高いところまでぐっと背を伸ばしてそこに新しい芽を押しやっている。
見渡すと全ての木や植え込みがそういうことをしていた。
そのことに打たれて、安易にあいさつできなくなった。

去年も咲いて夕方になっても暗い紫を輝かせていた葉牡丹が咲いた。
もうしばらくしたら、あの窓から重そうに下がっているななかまども赤く色づく。
それから、今日は今年はじめての金木犀の香りをかいだ。

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いつも問題に取り巻かれていて、分析する暇もないほど振り回してみたら自然にとんとんとついてくるものもある気がする。
下手な整理をしようと立ち止まるよりも詰め込んで走り通して、息切れしたときに残るおりのようなものがぼんやりわかればいいんじゃないか?
と、今日はそんな気持ち。