振付memo/橋の周辺



お母さんとお出かけするスーパー。
自転車の後ろに乗ってびゅんびゅん流れる空を見るのが好きだった。
怖がりなわたしは運転しているひとと同じくらいに前を確認していないと不安だったのに、あるとき思い切って全部投げ出してかくんと首を後ろに折ったら枝がはしって、雲が高く見えた。
くねくねと自転車が曲がるとおなじ道が空にもできる。
どこまでも行ってくれないかな、と思うレンガ色の赤い道。

ちょっと緊張する、友達の家。
手作りのものがたくさんあるような、不思議なかおりのする家。
近くに、生まれたときに薬指と小指がくっついていた女の子がいて、けれどいつのまにかその指は離れていた。

おてんばで向こう見ずだったから、その橋の外側の壁を伝って歩いた。
いつも真ん中までいかずに足が震えて引き返した。
まるで試練を乗り越えられなかったときのように悔しかったけれど大人になってからその橋を見て、よくあんなところを渡る気になったものだと震えてしまう。

道が坂で消える方に広い畑が続いていて、その突き当たりに壁のように森があった。
花火を見るぐるぐる公園からもよく見える森で、その森に小さな穴が開いて、そこへ入り込む細い道があった。
たぶんその先に入ったことがあるのに(食べ物の工場のようなものがあったような気がする)けれど記憶ではその森の入り口の先はぷっつりと途切れていて、小さい頃からずっとその先はたどり着けない世界だったような気がしている。

隣の町に行く道とスーパーに行く道とのはざまに小さな公園があって、中洲のような植え込みがあった。
可愛がっていた飛べないインコをそこに埋めた。
たくさんのひとが通りかかって寂しくないように。
つつじが生えていて蜂もいるし、蟻もいっぱいいたから地面の中でもにぎやかだと思った。
ぎゅっと足をちぢめたインコはびっくりするくらい軽くて、ティッシュに包んだらもっと軽くなった。


そして