少しずつ拾い上げてちょっとずつ磨き上げるしかないのに、「うーわー!わからん!!」ってただ髪をかきむしっていたんだろうな。
わからない時には放っておくしかないし、またはもがきまくるしかない。
それにしてもいつも歩みが遅いよ、なんて思ってもどうしようもないのだし。
何か見えない場所にうんうんとあぶら汗をかくよりも手のとどくところで呼吸するほうがずっと効率的。

なんとなく詰まっているなあ…と自覚したとたんにたくさんのことにすくわれた。
吹き渡り表面のかたまりをなじませてくれた、友達からのメッセージ。
じっくり染みてそうだった、と立ち返らせてくれたマイミクさんの日記。
吹雪を飛ぶ鳥のイメージ。
どれもこれもが答えをてのひらにのせて、ほほえんでくれた。

耕してたがやして、やっと実る。
私はまだひっかいて、肥料みたいなものをそろえてみただけだ。
根がはいりこんでもいないのに美味しい実が生るわけがない。
なんにもできないんだ、と知ろう。
あきれるくらい、全部忘れちゃうしおっことしてきちゃっているんだと認めて。


帰ろうと思ったら迎えてくれるように雨が降ってきた。
雨が好きなのは洗い流してくれるからだ。
川に降る雨はどこまで沈んでいくんだろう。
椿の植え込みがぱたぱた雫を受けているようすは鍵盤みたいで、ピアノをふたたび弾きだした友人に想いを馳せた。
彼女のひとみには世界が映り、同時にこころが透けてかぎりなく澄んでいるのだ。