* 差別するんです

部屋のちいさな窓の外に室外機だけが置けるベランダがある。
そこを鳩がみつけ、卵を産みに来るようになった。
母は鳩の糞はからだに悪いからと一生懸命追い出そうとしていて、父に頼んでそこに引越し用のビニールテープで柵をしてもらった。

朝がたがたいう音で目を醒ますと鳩がそこに入りこんだものの出られなくなっていた。
罠をしかけたつもりはないのに。
2羽で仲良くそこにいて、私が窓を開けるとじっとこちらを見た。
そこに卵を産んでも追い出されちゃうからあたためられないよ。諦めて別の場所をさがしなさい。
と話しかけてみたけれど初対面なのにことばが通じるわけもないので可哀想だけど棒を取り出してつっついてみた。
ちゅんが不思議そうに眺めているので「いじめているんじゃないよ」と言い聞かせつつもやっぱりつっついている姿を見られたくないので居間に避難させた。
鳩もなかなか頑固でちょっとくらいつついてもがんとしてどかない。
棒でここぞとばかりにからだを触りながら鳩ってやっぱり筋肉質なのだなあ、意外と重たいなあ、とぐりぐりしたんだけど、やっぱり全然どいてくれない。
困ったよ。
くりくりした目で見つめないでくれよ。
だんだんやっぱりいじめているような気持ちになる。
でもだって、ここは私のおうちなんだから!と気を確かに保ちたい…が負けて、お母さんに助けを求めた。
お母さんはホウキで一発で追い出した。
さすが。

見渡すとどの家のどのそのベランダにも緑の魚捕り網みたいなものがかぶせてあって鳩が入り込めそうなのはうちだけだった。
なので、私もその網目を細かくすることにする。
そのベランダは室外機しか置けないスペースしかなく、人間がそこに降り立つことはできない。
上半身がやっと出るくらいの窓からからだを突き出して作業をしている私のことを、さっき飛び立っていった鳩たちが隣の棟からじっと見詰めていた。

ほら。
こんなに必死なのだよ。
この姿に免じてもうこないでね。
またホウキで追い出したり、棒でぐりぐりしちゃうよ。

他にいい場所を探してくれたらいいなあ。
ちゅんやつばめはよくて、なぜ鳩はだめなんだろうとも思う。
可哀想だけど。
ごめんね。

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今日もまたおばあちゃんちへ。
パソコンのない生活。
といってもなかなか読書も、考えも進まないのだけれど。