* 飽和点、シフト

自分に一度うんざりしないと動けだせないときがあるようだ。
飽和状態をずっとだらしなくひきずってためこんで、もうだめだ、となって走り出す。
均一にならしておけばいいものをと毎回思うけれどこういう性分なのだろうと思う。
けれど今回は自分だけががっかりしたり困ったりすることではない。
大切にしたいのはひとであるから、あまりこうして空白でいることもよくないだろう。

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こころに入り込んだり、自分のこころの隙間をそのために空けて保ったりするまでに、小さなギアの入れ替え作業が必要みたいだ。
感覚にあずけてしまえるまで、いちばん信用のならない頭の表面でぐるぐる空まわりしてみる。
あずけてしまえればもう、楽なのだ。
それはいろんな覚悟ができたということでもあるから。
どんなによいことも、どんなに悪いことも、まっすぐに掴めるし怖がれる。

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会社の窓から大きな敷地の奥へと導く森のほんの一端が見える。
ぶうぶうと車が走るこんな場所でも、大きな木に抱かれたとたんそこがくるりと静かな空間になる。
ときどきからすがすごくからだを近づけて並んで枝に止まっていたり、夕日ががさがさした幹を染めていたり、ぱらりと枯れ葉が落ちたりする。
プライベートな空間のようで入ることができないのが少し惜しい。