* 新宿/エレクトーンの先生



6歳のころからずっとエレクトーンを習っていた。
うちには先生から譲り受けた大きなエレクトーンがあった。
今の電子っぽいやつじゃなくて、キーが3段、ベースは2オクターブあった。
ほんとうに重くて大きくて立派だった。
踊りの仕事を始めて練習する時間がなくなってから、やめてしまった。


最後のほう、全然練習ができなくて先生のうちに行ってもおしゃべりばかりしていた。
先生もそれでもいいから続けてごらんと言ってくれて、それなのに私はその気持ちを汲まず、ただそのことに甘えていたような気がする。

踊りの仕事を始めて毎日がとてもきつくてエレクトーンから離れても、よくここに通う夢を見た。
2週間なんの練習もしていないのにどうしよう、と焦る夢。
いまでもときどき見る。

自分の毎日についてゆくのが精一杯でいつのまにか先生と連絡が途絶えて、今は引越し先もわからない。
元気かな。

20年も触れていた鍵盤に今触れられないのは、そういうわけ。