* 川へ



前日からの気持ちのぎざぎざをどうにか静める一日にしようと午前中ぼんやりしていたのだけれど、友人からのメールで一緒にお散歩に出かけることになった。
このごろはいつどう予定が転ぶかわからないから約束もできなくて、だからこうして急に暇が合うってとてもうれしい。
きりっと空気が引き締まって気持ちがよかった。
新東京タワーや、近所の基地のアクロバット飛行を眺めていたら少し遅れてしまった。

3つ隣の駅に川が流れている。
電車で通るたびにあの川べりを歩きたいと思いつつももう10年以上実現させずにいた。
やっと、昨日。
いままで川の近くに住んだことはあったけれど神田川のようにコンクリートの壁に囲まれている川ばかりだった。
砂利や、藁や、土や草が水辺に濡らされて気持ちがよかった。
もっと早くここにくることもできたのにどうして今日だったんだろう。

川鵜がものすごいスピードで魚を追いかけている姿を見た。
頭だけが水面に出ていてその頭も切った水が滑らかに覆っていたから鳥には見えなくて、そのあまりのスピードに新しい生物を目撃してしまったかと思った。
大きな魚を加えて鵜が飛び出てきて、一緒に笑ってしまった。

今の場所は自分がいるべきところではないんだろうなあ。
放たれる空気がときどき隙間から入り込んできて疲弊する。
ぴったりと閉じられるほど、どうでもいいとは思えないから。

みどりがきれいだった。
いっぱいに水を含んできらきらしていて。
やわらかい土のにおいをかいでみたらよかったな。
あそこで本を読みたい。