『リリイ・シュシュのすべて』
壊れた世界のおはなし。
でも少し美しく感じるのはなぜだろう。
歪んでいて、無臭。
すべてを手放しているからなのかな。
岩井俊二は、ニセモノをよく描く。
それはほんものより語ってくれることが多いからだろうか。
ニセモノみたいな世界だとずっと思ってた。
でもこうして日記を書いたり交流をしたりする私たちにはちゃんとあたたかい血が流れていて、呼吸をしながら画面を見つめている。戸惑ってキーボードを打つ手が止まる。空を見上げて、友達を想う。
世界は全然単純じゃない。
なのに複雑なあみめが張られれば張られる程に、私たちは薄まっていく錯覚に捕われてしまう。そんな呪縛を自らかけているのだろう。
なにかしら記号を付与して…そこに発見するのは…安心?整理整頓なんてできなくていいのに。
でも、否定はしない。
必要なのはやっぱり想像力なんだろうな。
信じればそれが自分の世界だから、だからここから始めるしかない。
こうやって繰り返し立ち上がることだけが自分の強さならば。
リリイ・シュシュのすべて