本当にしたいこと、ふさわしいことを手掛ける日

読みかけの本のことは忘れて、どうしても読みたい本を手に取って読み始めようと決めた。朝起きていちばんに、コーヒーにたっぷり牛乳を入れて少しだけ温めて、机の上をさっと片付けて、心が動いたものを本棚から抜き取ろうと思った。
背表紙を眺めながらいくつかを列から抜き出していたら、ある本の上で手が止まった。
マイケル・オンダーチェの『名もなき人たちのテーブル』。これでしかない、と思った。他の本はもとに戻して、すぐに本の中に飛び込む。
『イギリス人の患者』をはじめて読んだ時にもわくわくした。今回も子供の頃に宝物にしていた、角度を変えるといろんな面がいろんな色に光るガラス玉みたいな、みずみずしくて多彩な、こころの躍る小さいが豊かな世界が詰まっていた。

こころが動かないことをしているのが間違いなのだが、その間違いばかりで日常を埋めてしまう。
それが例え大変なことであっても、遠回りなことであっても、役立たないことであっても、こころが動くことをいつも求めるべきだ。