淡路島日記/忘れられないガラスの向こう



町の道から山に通じる急な坂道があった。
この道を歩いていると地元の人にちょっとぽかんと見つめられてしまうくらい、長くて大変な道だった。
町の散歩を終えて発電所まで帰ろうか、と坂道にさしかかった時に視線を感じた。
振り返ったらすりガラスの向こうに、この子がいた。

ちょこんと前足をそろえて黙ってこちらを見つめる様子はなんとも言えず心細くみえた。
このままばいばい、って手を振っていっちゃっていいのかなあと思いながら、何度も振り返りながら坂をのぼった。

ずっとこのガラス戸が見えなくなるまで、私たちを見てた。