半分、手放したいまのこと

18日からはじまる写真展のプリントにやっとこぎつけた。
半年ずっとこの展示にむかって歩いてきたはずなのにとてもぎりぎりになってしまった。

今回はひとです。
去年のあわせ鏡の時からいつかひとを撮りたいと思ってきたけれど、まさか今回ひとを撮るとは考えぬまま冬を迎えて、やっぱりひとなのだと思い至ったのが12月。
ひとを撮る、と決めてからぐるぐると考えることが多かった。
どうしても撮りたいひとはすぐに何人か頭に浮かんで、でもそのひとを撮るってどういうことなんだろう、わたしは果たしてそのひとの何が見たいんだろう、そういうことを考えていたら、わたしはどうひとと、世界と接しているんだろう、ということを詰めて考えることになって。
ひとは自分の鏡だというけれどそのことに本当の意味で対面する時間でもあった。

今回3人の友人に被写体になってもらったのだけれど、後日、撮影日に一緒に歩いた道をひとりで全部なぞった。
もう隣には、画面には、そのひとのいないその場所。
ずっとそのひとのことを考えながらひとりで歩くことでもうすでに撮ってしまった絵の何かが変わるわけではないのだけれど、よみがえったり塗りなおしたり思いを寄せる時間はとても大切なものだったと思う。

今までもらってばかりで、写真を撮ることでそうじゃないことをできたらいいと考えてきたけど、やっぱりもらうことばかりなんだな。
せめて奪わないようになりたい。


篠原さんとの打ち合せの中で今年も引き続きルーニィで小さな展示をさせていただけることをお願いした。
半年続けた1ヵ月に1回作品を発表するという作業はしんどかったけれど、それがなかったら今わたしが考えてきた、積もらせてきたものもなかった。

写真がやっとしんどくなってきた。
やっと苦しめる段階に入ってきた。
でも踊りと同じでやっぱり撮ることは相変わらず楽しい。


18日から23日まで四谷三丁目のギャラリールーニィで本展示です。
お時間あったらぜひ足を運んでください。