眠りと覚醒のあいだ



眠りに片足をつっこんでいることは意識している。
私は何の変哲もないある風景のこちらがわにいる。
少しひらけたその風景を扉のような木の枠ごしに眺めている。
手のひらでその壁の感触を辿る。
夢と知りつつ、実際の感覚をそこに再現してゆく。
ゆだねることと創ることを同時に。
うつぶせになっている布団の感触とは明らかに違う、がさがさと固い手触り、木目の流れ。
強い感触に、頭の後ろの毛穴までがひろがるようだった。
あまり急いで突き詰めすぎると金縛りのように麻痺してしまう。
脳の襞を分け入るような感覚。
溶けるくらいに深くもぐりこむ好奇心があるのに、半分は恐がっている。
無防備すぎるその領域に分け入ることと、侵入されることが同じことだからかもしれない。

眠りと覚醒のあいだ。
ここでしか知り得なかった感触がいくつかある。