牧谿、いろんな白
たいていの場所にはいけるしたいていのものは手に入るけれど、だからこそその特別じゃないもののなかに自分を通してとくべつなものにできるかどうかが重要なんだろう。
それは喪失のようなものかもしれないし、愛着かもしれないし、着眼点かもしれない。
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牧谿の絵をみたい。
こんな景色を実際には見たことがないけれど、まるで記憶深くに眠っている場所みたい。
ただそこに水があって、鳥がとびたつ。
山水画には8つの主題が定められているんだって。
それがとても素敵だったのでメモ。
・人が市に集まった「山市晴嵐」
・夜の雨を描いた「瀟湘夜雨」
・夕暮れの漁村「漁村夕照」
・帆船が漁から戻る「遠浦帰帆」
・寺の鐘を聞く「煙寺晩鐘」
・水面に月が映る「洞庭秋月」
・雁が汀に降りる「平沙落雁」
・雪景色の「江天暮雪」
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失われた景色のことを思うと、去年個展で踊らせていただいた石原さんが描く小比企のはなしを思い出す。
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いろんな白のことが気になる。
いろんな色を含む白のこと。
ときどき文字についている色が勝手に騒ぎ出すことがあって、そういうときは頭の中心が重く疲れる。ひとの名前も間違えてしまう。
もう少しなにもかも表面に出てきてくれればいいのにな。