* 朝の足音、ぼんやりと愕然



バイト先の事務所が移転したので朝歩く距離が少しだけのびた。
同じように通勤するひとがだんだん減ってゆきいつのまにか足音がひとつになる。
子供たちが門の警備員さんに元気な挨拶。
雨の名残が肺を満たす。
ヒヨドリがきかんぼうらしい声をあげながら横切る。

少し新しいひとたちに慣れてきた。
目の前の子と仲良くなったおかげかもしれない。

何に対しても守りたいことは貫くしかないしだからといって頑なになりすぎてもいけないし。
大人になりながらそんなことのさじ加減をちょっぴりずつ学ばなければならなかったのに、私はそれをしてこなかった。
大人になればいろんなことが自然に身につくと思っていたな。