福岡の自由時間9



卒業制作がなんだったか、全然思い出せなかった




福岡の中学には1学期間しかいかなかった。

小学校の時に最悪の出逢い方をした女の子(私が空手を始めたのはその子に負けないため)と結局すごく仲良くなったんだけど、入学してすぐその女の子がクラスの男子を脅していたことを思い出した。
あと何かな。
念願の器械体操部に入ったら先生がとても厳しくて、床でバック転もまだそこそこだったときに平均台でバック転をしろと竹刀でぴしぴしされたことと、登校中に学校に雷が落ちたこと、それから、体育委員だったことも覚えてる。

夏休みの遠足の計画をみんながするのをちょっと寂しい気持ちで聞いていたことも。


それから、部活の帰り道、暗い中裏門を抜けると船の汽笛が聞こえたこと。




遠くからこの橋を見たときに、とても父と母に似ているご夫婦が散歩をしていた。
まだとても小さく2人の影が見えたころにどきどきし出して、ここにいる筈がないと分かっているのに歩きながら世界がぐらぐらした。
それからなんか泣きたくなった。
時間を越えてふたりを見たように思ったからだし、たぶんこの先にもおなじぶんだけの時間をだぶらせてふたりを見たからで、そしてもうそれは3回も4回も折り返せないんだというようなことを思ったからかもしれない。

それから、考えてみたら母がここに住んでいたのはちょうど今の私の年齢だった。