隣を歩いてみる

No.26

明け方に目が覚めて布団をかぶり直すほど、涼しい。 今年も真夏の服を着る機会があまりなかった。 雨に降りこめられて雷を眺めた夏が、懐かしい。

明日は月に一度のテストだ。 進級してからやっと授業についていっている状態なので、結果は期待できないけれど、まあいい。

教えるひとに求められるのはその生徒がどういう道筋で今の状態にいるかをよく見て、察する力かもしれないな。 そこにちゃんと寄り添っていれば間違ったことを言っていてもほんとうは何がいいたいのかが分かるし、ただ正論を押し付けるだけでない、道筋にそった助言の仕方ができる。 こういうことを考えるといつも思い出すのがコントラステの先生たちなのだけれど、タイプの違う先生たちがそれこそ四方八方から色んな方法を投げかけてくれて、当時私も教えをしていたので先生はこうあるべきだな、とわくわくしたのを覚えてる。 ピルエットができない、フェッテが続かない、ジャンプが美しくない、腕の動きがなめらかでない、…… そのどれもに20通りくらいの全然違うアプローチをアドバイスくれる。 例えばピルエットひとつとっても、軸は地球の中心を通ること、顎のラインが脇線に来るまで待つこと、つま先はつま先だけじゃなくてアンディオールの軸から繋がっていること、腕の作り方、床の踏み方、プレパレーションの腰の位置、ちょっと怒りながら回るとうまくいく、こういうリズムを口で言いながら回ってみなさい、坂道だと思ってやりなさい、いいからとにかく思い切って回っちゃいなさい!!! などなど。 そういうことを、何度でも根気よく教えてくれて、根気よく試す私をずっと見ていてくれた。 どんどん新しい感覚を取り込んで、次のことが出来るようになる自分が、楽しかった。 このいくつものアプローチを持つために、その何倍の道を通ったんだろうか。

今日は寒いから久しぶりにポトフを作った。 好きな野菜と鶏肉を適量の水と塩でとにかく煮るだけ。 肉の臭み消しに色んなハーブを入れた。 格安の桃とキウイを買ってきたので冷凍していたバナナと豆乳と蜂蜜でスムージーも。

29日には日本からいらしている内田樹さんのお話を聴きにいく。 本を読んだり、絵の展示を見にいったりしてお会いしてみたいと予てから思っていた建築家の方もいらっしゃるようで、楽しみ。