本と雨

雨がくるにおいにときどき空を見ていた。 雲が雨を落とすまでは去らない決心をしているみたいにびっしりと留まって、呼吸するとひたひた水がたまる。 今日稽古のあった森下スタジオはなんだか少しプールに似ていると思った。

中途半端に読んでいた本を2冊とも読み終えて、少しその色に沈んでいる。 ことばはやわらかいけれど絶望に似たものが底に薄く層をつくっている。 雨のにおいと一緒に入ってくるとそれは、からだをいつのまにか冷やした。

本屋さんになりたいなぁ、おばあちゃんになったら。