風邪の日



ちゅんは熱が高くて寝ているわたしの頭や手をひょいひょい移動たり、ときどきじっとうかがうように身を膨らませたりしていた。
わたしが家にいることが珍しいからどこにでもついてくる。
携帯を見れば一緒に携帯をつつくし、おやつを食べればくちもとに首をのばす。
本を読んでいる私の手の上であたたかくなってきたなと思うと、目を細めてうとうとしている。

ちゅんが片足をあげてくらくらしながらうとうと目を細めていくとき、いろんな表情をする。
寂しげだったり眩しげだったり、慈愛に満ちているみたいだったり。
ただ眠たいだけなんだけどね。

目をみつめていると、全然意思疎通ができない気がするときと、今この目にはわたしが映っているなと感じるときとがある。
実際なにを考えているかわからない。
いい子にして話を聞いているような気がするのに突然攻撃されることもあるし。
あきらかに私の目をみつめているんじゃなくてほくろとか、ごみとかそういう小さいものに気をとられているときもあるし。
眠くなると目のふちがじんわり赤くなる。
足の裏があつくなる。

鳥の目玉は人間のようにまんまるじゃなくて楕円に近いそうだけれど(目玉は眼窩のなかであまり動かない。だから首を動かす。ふくろうは目玉が筒みたいに長いんだって)、ちゅんの目玉はどんなかたちなんだろう。


ちゅんが一日中わたしにぴったりと張り付いているのは家にわたしがいるからはしゃいでいるのではなくて、弱っている私に必要だと感じるからなのかもしれないな。