赤い空、撮れないもののこと
ものすごく空が赤かった。
移動中だから撮れないなーとそわそわしていたらひとがいなくなって、隙あり!と撮った。
爪くらいのカメラとか、まばたけばシャッターが切れたらいいなとかいろいろ思うけれど、
やっぱり「撮れないな」と諦める景色もたいせつなものだと思う。
写真を意識的にたくさん撮るようになってすこし経ったけれど、カメラを構えることに対する緊張は増している。
どれくらい写真を撮るということが強い行為で、いろんな気持ちをかきたててしまうものだということを
昔よりわかってきたから。
カメラを覗いてそこにおさめたひとやものや景色に対して抱く愛情のようなものは、
カメラを向けられた方には決してそのまま伝わりはしない。
だってあれだけレンズはぴかぴかで大きいし、見ることよりもずっと特別だし、写真は世界にあふれているんだもの。
だから「撮れないな」とカメラに触れることのできない感覚を忘れたくないと思うし、ほんとうはもっと
敏感であるべきなのかもしれない。
「撮れないな」って思って眺めるそのものの鮮やかさはわたしに仕舞われて誰にも手渡せないけど、
そういうことも必要なんだな。
とても。