7月おわり、根っこのほど近く



もうすぐ7月おわりだなあなんて思っていたら今日がそのさいごの日。
膨らんだりぽっかり抜けたりして長かったのか短かったのかよくわからないひとつきだった。



平泉への深夜バスをとった。
能のチケットもとった。
おばあちゃんに電話してみようかな。
能の準備で忙しいだろう親戚のおうちにお世話になるつもりはないけれど、行くからにはご挨拶したいし急に訪れてもわたしのことを覚えているかわからない。

平泉へは一度だけ、中学生の頃に行った。
たぶん10歳くらいだったと思う。
今は疎遠になってしまった従妹とおばあちゃんと3人で。
行きの新幹線でアイスクリームを食べたのを覚えている。
まるで、ちょっとした秘密みたいに。
おばあちゃんとすごすのはそんなふうに、なんだかちょっと楽しかった。
特別公開だったのか身内だからだったのか忘れたけれどお堂のあまりふだん見られないものをみせてもらった。
でもそのころ全然仏像とかお寺とかに興味がなかったからあまり内容を覚えていない。
もったいない。
平泉に住んでいる従妹2人とバドミントンをして遊んだ。
公園に行ったとき5歳くらいの方の子の方が高い網の橋のようなところから降りられなくなった。
おばあちゃんももうひとりの大人のひとも助けられなくて、わたしがその子を抱えて降りた。
怖くてまったくすくんでいたから、私はひとりで登るのもやっとのその網を5歳の子を抱えながら片手で降りなくてはいけなかった。
今考えるとぞっとするくらい危ないことだった。
それに、その時めずらしくスカートをはいていたのにさ。
あのときもう金輪際スカートははかないと決めたのだった。
もともと旅館だったのでとてもお家が広かったことと、裏からすぐ細い竹の生えた山がはじまっていたことも覚えている。
おみやげに買ってきたずんだ餅を知らないおじさんがもっていっちゃったこともあったな。

なんだかどきどきする。
ひとりで旅するの久しぶりだからかな。
ずっと行きたかった場所だからかな。
まだホテルとってないからかな←早くとろう

おばあちゃんが踊っていた能台を見て、さわってくる。
わたしがなにをそこに長年求めていたのか、たしかめてくる。
最近どうも勘が鈍っていて迷子になることが多いのでちょっと心配だけれど。