おばあちゃんを撮る



夜中の12時から稽古を始めてデュオをつくった。
まだ全体像が出来ただけでスムーズに進まない。
気付いたら本番は来週なのでカレンダーを見ると冷や汗がでそう。
早朝6時に稽古を終えて電車はすいているだろうと思ったのに半分は座れなかった。
朝早くから電車に乗っている人はこんなにたくさんいるんだ。

ずっとおばあちゃんを撮りたかったのでおばあちゃんちに向かい、ひと眠りしてから撮影。
ほんとうはもうほとんど出歩こうとしないおばあちゃんを外に連れてゆくのもひとつの目的だったのにそれはかなわなかった。

自分のことにばかり興味をもって飛び回っていたのに、写真を撮るようになってから、家族とか昔の時間とか、大事なひとやものにゆっくりと目をやるようになった。
どうしても好きなことしかできない性格なのでわたしにとっては幸せなことだと思う。
べつに、どちらもついでではないのだけれど。

はなしをしているひとの目をじっと覗き込むのが癖で、大人になってからはそれではあまりにも相手を圧迫してしまう気がしてときどき視線を手に逃がす。
同じことを今度はカメラでたどる。
家族だから楽しい話ばかりするわけじゃない。
はじけるように笑ってほしくて話題を探すけれど、撮れるのは遠くを見る目や、思うとおりにいかなくてしかめる眉。
でもそれでいい、と撮っているうちに思った。
わたしが今話しているおばあちゃんの、今はなしたいこと。
それでいい。


注)写真はおばあちゃんではありません