* 新宿/公園へ、決定的なこと



公園に向かう道。
大通りのことは覚えていたけれどこのショートカットの坂道のことをすっかり忘れていた。
どうして忘れることができたんだろう、何度もここは夢に出てきているのに。
この分岐と、福岡の松林が重なったこともあった。
噴火と地震の夢のときにも、確か出てきた。


このあたりがとても見たくて歩いてきたのに、角をまがるたびに小さく驚く。
ここを、何度通ったろう?
ほんとうに、なんど?

考えてみたら今のおうちの近所だって、たとえば駅までの道は何百回と通っている。
でも、その行為が終わったというだけで、そのくりかえしがこんなに胸にせまるかたちで浮き上がってくるなんて。


この近くでいつも茶色と黒のぶちの猫と遊んでいた。
すらりとして、性格のきりりとした親子だった。
たぶんもう確実に、あの親子はどこにもいないのだ。
そう思ったら、なんだかはんたいに、取り残されたような気がした。