* 霧の日、そのあと
霧の日の写真ができた。
霧が晴れて、あたためられた屋根から水蒸気があがっているところ。
2週間も放っておいたフィルム。
けれど、こうして忘れていたことを思い出させてくれるからいい。
洗濯と大雨は似ている。
どちらも、汚れを流してくれる。
汚れは地下の真っ暗を流れて海に沈み、泡になって再生を待つ。
…といいな。
この日の夕方、とても光が綺麗だったんだった。
でも電車のなかではどうしてもカメラを出せなくて。
やっと写した空はもうずいぶんと暮れていた。
霧の朝、特別な夕方、ともだちの家