睡魔、ペット・セメタリー



しなきゃいけないこと、したいことがたくさんある。
それなのにまた睡魔に負けている。
電車のなかでも、夕飯のあとでも。
『悪童日記』を読みながら、ほんのひとつの瞬きが眠りにつながる。

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ホテルに残されたクアンからのプレゼントを受け取りに行った。赤い箱はベルギーのチョコレート。
みんなと一緒に歩いた街だと思いながら、今かんじているこの気持ちをしばらくはこの景色と結びつけるのだろうと考える。
夏の花火みたいに。

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なにかしら思いを配った場所、というのはキーワードになるのかもしれない。
積み上げた時間のことでもいいし、爆発的に焼き付けられた印象でも。
それから、静かな死と結びつくこども時代。
かえるの墓場を囲んだロータリー、鳥の眠る中州、きれいなアメリカンショートヘアーのこどもが固くなっていた電信柱の裏。
なぜ住んでいた場所を思い出そうとするとひそやかに息をとめているわたしを俯瞰することになるのだろう。