* 妄想の感傷

友達と話していて急にそれが自分の経験と重なり、話しているときにはそんなに深く思い出さなかったのだけれど帰ってからひとりシャワーを浴びながら急にまざまざと思い出し、どんなにか私がひどい仕打ちをしたかということに涙が出た。
もうずっと昔、何年も前のことなんだけど。
因果応報とはちょっと違うかもしれないけど、自分にその仕打ちがめぐってきてやっとそれを痛感することができて、私という生きものはなんと想像力に欠けることよ、と思う。
あの行動もあの言葉も今となっては取り消せないけど無しにしたかったことばかりで、子供だった、というだけではきっと済まない、自分の持つ浅はかさだと思う。

でもふと急に、そのとき一緒に可愛がっていた猫がいなくなるシーンが浮かんできて、ただの想像だとはわかっているのに何故か一生懸命、「恐くないよー、ちゃんとそばにいるから、ゆっくり寝なさい」みたいなことをずっと念じていた。
どうしたら「死」ということをかたちとしては知らないこのこが死の影におびえずにいられるか、ということを真剣に考えた。
悲しくてかなしくて仕方がなくて、変なの、と思いながらずんずん泣き止めなくなった。

小さいときはよく、自分の想像から抜け出せなくなって泣いたりしてたなあ。
大人になってもこんなことがあるなんて。
と考えながらふと、これが虫のしらせじゃありませんようにと祈らずにはいられなかった。


でもなんだか、私は自分のためにばっかり泣いている、と思う。