まよこの関係、アネモネ、ワダエミさん



朝、顔を洗うときに湯たんぽをベッドから引っぱり出し、ぬるくなったお湯を洗面器にとぽとぽ注いだ。
ちゅんがばさばさとやってきて肩にすとんととまる。
お風呂に入りたいの?ときいたけどただ見学しにきただけみたい。
顔を斜めにしてぬるま湯を見た。

ちゅんはほんとうに私のことが好きなんだな。
そう思うと幸せだった。
きっとお姉ちゃんみたいに、友達みたいに思ってるんだ。
いつもならここまでしか考えないのに、今日はふと、でも私もちゅんのことを本当に友達だと思ってもいいんだ、と気づいた。
今までちゅんはどこかで私のペットであったのだけれど。
毎日ちゅんのことを考えているしうちに帰るのが楽しいし、本を読むときもご飯を食べるときも一緒にいるし、何を考えているのかなあと理解しようとしているし、体温を感じあっている。

そっかー。
私とちゅんは友達なんだ。

なんだかそう考えるとゆるされたみたいに涙が出そうになった。

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会社のひとにアネモネを贈ってから、花屋さんをみかけるたびに探してしまう。
ビビッドな花びらのまんなかにくまんばちがいるみたいなアネモネ。
そしてアネモネは私の大好きなひとが好きな花。
自分が自由にできる庭を手に入れたら、アネモネを植えたい。

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わたしが子どもだったころ、という番組でワダエミさんの回を見た。小さなころにやりとりした手紙をずっと持っているなんて、素敵なこと。
わたしなんか小さなころのものなど何も持っていない。
1000回くらい読んだ図鑑も、数少ないおもちゃも、絵本の全ても、交換日記も、自分が描いた絵すら、なにも残っていない。
いろいろなことをちょっぴりずつ切り離してゆくことを当たり前にしてこれたのは、わたしがこれという意識のないこどもだったからだ。
映像がきれいだったな。
けれど番組としてはもう少し掘り下げてほしかった。お手紙のことにしぼっていいから。