夕立が待ってくれた午後

No.7

夢の中で私は本番前最後の稽古をしている。 私以外の出演者はみんなバレリーナで、振付家もバレエの作品ばかりを作るひとなのだけれど今回はコンテンポラリー作品に挑戦している感じ。バレエ界の大御所が見えるらしくみんな緊張している。私は知らないから呑気。 会場のトイレが大衆浴場のようにオープンでしかもどこに用をたしていいか分からない変なデザイン。 レオタードとタイツに着替えながら「今日ってポワントじゃないですよね?」と共演者に訊く。訊いたって持ってきてもいないのに。 本番が始まり袖から出ると、見たこともないくらい縦に長い舞台だった。パートナーは場所を見誤ってとんでもない位置から踊り出す。動きをごまかしながら近づきながら踊るが、相手は舞台上で自分にダメ出しをしつつ踊っている。たった今の動きに普通の声のボリュームで言い訳をしながら、場当たりの時みたいに適当に踊っている。これはもう自分だけの仕事をするしかないな、と冷や汗をかく。 何故か舞台上には楽器が障害物としてぽつぽつと置かれている。 目が覚めてからもちゃんと振付を覚えていた。

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勢い良く歩くと風を受けて髪に対流が起きる。 髪が背を押す。 ぎりぎりまで飽和した雲、どこかでもう降りだしている匂いがする。 日本の夕立が懐かしい。

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Pyramidesで銀行の残高証明書の申請。 とにかく紙の書類の多いフランスのことだから、手続きは大変なんだろうな…と思ってたらパスポートを見せるだけで完了。 直接訪ねてみてよかった。 7bisの地上へのエレベータでおばあさんが緊急ボタンを指さしながら、「これは今押しちゃだめよ。これは危ない時に押すものなの」と小さな子どもに言い含めるように教えてれた。

薄い緑乳白色のファイアーキングマグみたいな色の瞳の子猫がいた。 今日ものりちゃんには会えなかった。

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生鮭に塩コショウとオレガノをふりかけてオリーブオイルとミントでもんでおく。 カリフラワーとじゃがいも、人参、玉ねぎとネギの青くて硬いところをよく煮込んでミキサーにかけて豆乳と生クリームで冷たいスープ。 下ごしらえをしていたら台所の流しの下からささっと出てきたり、台所から部屋の境目の扉にささっと入っていった黒いものを目の端でとらえた。 見間違いじゃないんだけど、正体がわからない。 5センチくらいの丸いものに見えたのでたぶんすすわたりだということにする。(フランスには日本みたいな大きなゴ…はいない) 台所と居間の境目あたりに、いたずらものがいるのかもしれない。