とどまることから始まる向こうのはなし

工事現場とか、トラックや錆びついた電車でどこかに移動するとか、そういう夢をこのごろ良くみる。
もともと工事現場は好きでバイトをしていたくらいなのでどうして夢をみるのかはわかるのだけれど(ちょっと懐かしいのかも)。
でもどうして工事現場が好きなんだろう。
植物が好きなのと同じ感じで土から建物が生えてるからかな。
ちがいますね。
でも遠くはないのか。
生えてきているその過程だから。
骨が好きだからかな。
まだあらわになったままの、建物のはだかの姿だから。
そうすると廃墟みたいなものが好きな理由もちょっとわかる。
肉が洗われて芯の骨がひっそりのぞいている。
ちいさなチャンスを見つけてそこに根付く次の命があってそういう混沌なところと、しんと黙る骨の部分。

乗り物にはいつか降りるために乗っている。
そこに行くことを夢見ているときには、夢みないで逸ることなんて考えもしないのに。

音楽はない。
いつも、光はあるのに。
歌いもしないし、頭のなかに流れているやつも、なしだ。