さかいめのはなし

夕方の時間を歩ける、ということがとても素敵なことだと思えるようになったのはあの苦しく縛られたときの中で得られたいちばんいいことのひとつ。 きっとこの思いだけはずっと変わらずにあるんだろう。

からだの輪郭が夜に向かって紛れていくみたいな、どうしても静かにそこに進むのは、こんな青でしかありえないんだな。 ゆっくりと沈んでゆくことでかえってからだが自分のものになる。 光に歯向かうことなく、消えることで。 誰のものでもなくなる、それはもしかしたらからだを見せないと存在の意味がないいつもから、唯一完全に取り戻せる瞬間。