岩手/おみくじ売り場



最初間違って訪ねたのは能殿の裏だった。
やさしく丁寧に神社を教えてくださったかたはあとで分かったけれど仕手のかただった。

神主さんらしきひとがおみくじ売り場にいた。
おじさんの名前をちゃんと聞いてこなくておばあちゃんが「○○ちゃん」とあだ名で呼んでいたことしか覚えていなかったから、「○○ちゃんですか?」と訊いたら、おばあちゃんから電話で私の旅を聞いていたおじさんはすぐに分かってくれた。


はじめておみくじ売り場に入った。
ずぶぬれだったからタオルや長靴を貸していただいたり、東京からのおみやげを渡したりした。
それからおばあちゃんの写真を渡した。


とてもほっとしていた。
ほぼ初対面のようなものなのにやはり親戚だからだろうか。
おばあちゃんが育った場所だからかな。

ずっとここを想っていたからかもしれない。
はじかずに、ちゃんと抱き込んでくれた。


白山神社 能舞台