異邦人、旅の写真

写真を持っていく用事があってギャラリールーニィへ。
今回のジュンさんの写真はなんだか異邦人みたいだなあ、と思った。
ギャラリーのオーナーの篠原さんがジュンさんの写真を見て、やっぱりマスナリくんの写真は自分にかえってくるんだね、という話をしていたことを思い出した。
知らないひとを視て、とらえて、つながりを持って、そうしてそこにもしかしたら自分の面影のようなものを探しているのかなあ、と。
行く場所やとどまる場所がないわけはない、でもわたしたちは絶えずそういうとどまらないものの上にいて、失うものを悼む暇もない。失う自分を慰める暇もない。
異邦人はほんとうは一番それを丁寧にひだにしまっているのかもな。

本会場にはフィガロにも写真が掲載される岡部浩さんの写真。
フィガロは大好きな雑誌で、岡部さんの写真もとてもいいなと思いました。
これから雑誌を読む時に岡部さんのお名前を探そう。
閉廊ぎりぎりに行ったのでほかにお客さんもいなくてゆっくりお話することができた。
わたしは踊ることを長年してきたのだけれど写真を撮るようになって、今までこのふたつがまったく別の作業だと感じていたことが実はそうではないことに気付いたんですという話をしたら、自分の中の既成概念を壊すことは大事ですよね、ということを話してくださった。
でもその既成概念のようなものを壊すことこそ、とても難しくないですか?と訊いた。そこに意識がないから。どんなに抜け出そうと思っても簡単にぬぐえるものじゃない。
岡部さんが世界が変わったなと思うようなその破るきっかけはどんなことでしたか?とずうずうしくも訊いてみた。
そうしたら、やっぱりひとですね、とおっしゃった。
自分が付き合うひととか好きになるひとを限定しないこと。

いいなと自分が思えるものを撮るにはやはりエネルギーをかけること、とも話してくださった。
うん、ほんとうにそうだ。
何でも撮ってみなきゃ。惜しみなく。