呼吸のしくみ



できあがってきた写真をみるとき、いつも痛いくらいに心臓が鳴る。
あまりにいそいでそうなるのかと思っていたけれどそうじゃないな。
たぶん写真が好きだし、そしてとても真剣なんだ。

踊ることと撮ることはまったく別のことではなくて、すんなりと入ってきた。
でもたぶんまだ、わたしがひねりだしたものをいちばん欲しているのは自分でしかない。
自分があたたまっただけでおしまい、というわけにはいかない。

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かえりみたらとても偏った場所にいる。
踊るのは踊れるからじゃない。
踊ることしかできないからなんじゃないかな。
ことばが苦手だからじゃなくて、ことばで伝えられることじゃないことのなかにいる。
きっとこれをことばに換えて丁寧に伝えようとしたらとんでもない時間がかかる。
ときどき、語りたいことがないんじゃないかと思う。
口をひらくとからっぽだから。
でもじゃあなにが溢れそうになってどきどきするんだろう、爆発しそうになって必死に平静を装う。

あたりまえのことができなかったり、あたりまえの会話ができなかったり、そういうことがずっと重たくのしかかっていて、だから踊ることでしか息ができないと思っていた。
だから、というのもちょっと違うけれどひとりよがりの呼吸ではいけない。
誰のためでも自分のためでももしかしたらあんまりなくて、もうその時間とかその場所とかのためにおどるのかもしれない。

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これはmasatoさんが見せてくれたポラロイドからの大桟橋。
フィルムが大きいからなのか繊細で明るかった。