とぎれとぎれの春、今年はじめての夏の予感



春を待ち望んでいるあいだに雨がふりだした。
このまま湿気をすかして夏がくるのだろうか。

先週の水曜日に今年はじめての夏の予感がした。
夏の宿のようなたてものを通りかかったときに。
どうしてかな、とつぶやいたら「虫の声じゃない?」と言い当てた。
あの圧倒的な時間の飛躍。

春を通ってきた実感はきちんとある。
さくらを足がかりにして。
忙しくてもそのあいまに景色と結び付けてくれた。
どんなにほかの時間の記憶がほろほろと崩れても、確かな映像にひかりを当てれば平気だ。