* memo/夢のまえ、どこでもないところ



声がしたように思ったけれど私の目覚めだった

夜をめくるとそのむこうには夢のない眠り
暗闇のなかには凍結寸前の息づかい
圧力を持った低温におののく
抜けだそうという反射を肘から染められてゆく

からだを護った瞬間目の前がすべてひらけていることに気づく
ガラス張りの建物のなかにいた
蝶がとぶ、そのはばたきの音がきこえないのは隔てられているからではない

手のひらから夢はすりぬけその残滓を試す
やはり音はどこにも残っていない
頭をはずして眺める
目をふさぎ、肩の自由を奪って連れてゆく
人形の目を醒ます
けれどそれが夢の入り口