焔と氷



水のそばがいい。
知らないまちを歩くとき、いつも川を探す。
遠くまででかけて辿りつくところに海か湖があるといいとおもう。

わたしのなかにはひとつの静かな風景があって、
それはことあるごとにわたしのなかで澄んだ音をたてる。
見上げるひとみから胸のほうへまっすぐに落ちてくる光の音なのか、
水面にさざめくその切れはしなのか、
もっと遠い冷えたかなしみのようなものなのか、
わからないけれど。

何度もくりかえし洗ってくれるから、じんわり身をまかせる。
ずっとずっと、たくさんの生きると死ぬを。


夕陽が沈む直前、海はアイスブルーになった。
燃えるものと凍るもの。
ここにもあった。