西の空、若田さんに手を振る



気付いたときもう虹は消えかけていた。
でも雲が厚くて、その厚みに負けない強い色が空を彩っていることに気付いた。
電車の中からずっと静かな世界のおわりみたいな西の空の向こうを見ていた。
この電車からはちょうど西の空のはては落ちてゆくみたいに見える。
影のある濃い紺色の雲の手前に薄いオレンジ色の雲が横切る。
川を渡ると水面も薄く紅色だった。
もしこんな空の下、ウユニ平原にいたらうつくしすぎて気がくるっちゃうかもしれない。


7時35分ごろに宇宙ステーションが空を通過するよ、というメッセージがあって、私はその5分前に家にたどり着いた。
ご飯を食べている家族にそのことを伝えるとみんな玄関に飛んで走り、北西の空をみんなで眺めた。
雲だらけだし北の方向には高層の建物があるから見えるかどうか…と心配していたけれど、ちゃんと見えた。
雲の隙間をずっと強く確かに光って通過していった。
飛行機よりもずっと強く、流れ干しよりもゆっくり。

興奮さめやらぬ父は夜私がパソコンの前に座っていたら「次の宇宙ステーションはいつか調べてよ」とせがむ。
子供か。

次はいつだろう。
わかったらみなさんにもお知らせするね。