* 道草のにおい、明日は本番



変わりたいと思うからかわるというのは本当だ。
もしかしたらもっと想像力が明確であれば無駄なく変化できるのかもしれない。
けれど私はそんなに器用ではないみたいで寄り道だらけだ。もしかしたら国道に出たことはないんじゃないかと思うくらいにくねくね整備されていない道で、いつも雑草ばっかり摘んでいる。
でもそんな道が嫌いじゃない。
かさかさの葉のあいだにしか見つからない小さな白い花をつける草とか、みずたまりがふと輝いているのとか、誰かがこっそりとつくった大切なペットのお墓とか、どぶに落ち込んだネックレスの珠とか、そういうものにいちいち立ち寄る。
姿を焼付け、手にとって重みを測り、けれど歩いているうちにいつか落としてきてしまう。
でもまた見つける。
ときどき振り返って自分が落としたものを眺める。
もう見えなくなった道を思い出す。

器用じゃないからじゃないな。
私は面倒くさがるからいけないんだ。
大事だなと思うことなのにいつも後回しにする。
甘えているんだと思う。いつまでも待ってくれると思っている。
けれど印象も瞬間も友達も、私の時間でうごいているわけじゃないんだ。

大切なことがなんていっぱいあるんだろう。
踊ることで響いたり、うちに帰るとちゅんが待っていてくれることや、誰かの作品からインスピレーションとか幸せな疑問を得ること、それからまわりにいてくれる友達。

今年はじめの目標であった、きちんと自分の足もとを見つめて耕すこと、はたぶん深く潜行して進んでいる。
どんな方向に導いてくれるのかは知らない。
今はがむしゃらにこころが求めるものを積み重ねてみている。
触れたときのその新鮮な驚きだけが積もっているものもあれば、繰り返されるモチーフであることに気付いたことがらもあるし、そして大半は未咀嚼なまま震えだけをくれるようなものも。
今年の目標というだけじゃきっとおさまらない。
きっとずっと考え続けより道し続けなきゃならないだろう。
そして、そういうふうに生きていけるんだとしたらとてもわくわくするなと思うのです。

明日、本番をむかえます。
道草しながら集めたガラクタも、お日さまの匂いも、長靴についちゃった泥も、笹で切った傷も、急に出てきたたぬきとかも、ぜんぶを抱きしめて踊れますように。

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『LEFLET(ルフレ)』
日時:5/14(木)・15(金)  19:00~ (18:30開場)
場所:東京芸術劇場小ホール1 (Click!)
構成・演出・振付:佐藤 宏 
出演:伊藤さよ子 増田真也(14日&15日)
   森田真希 竹内春美 朝弘佳央理 澤井貴美子 布目紗綾(以上14日)
   依田久美子 山口智子 工藤洋子 岩沢 彩 堀内麻未子(以上15日)
チケット:全席指定/5,000円

ラ・ダンス・コントラステ (Click!)

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