* はざま



帰ったら、お父さんもお母さんもなんだかちょっとしゅんとしていた。
クワンがいなくなってやっぱり淋しい。
たった2日間だったのに、熱帯の嵐みたいにやってきて、そしてまたわたしたちはもとの春のなかに残された。

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友達と接するとき、相手ごとに自分が変わってしまうことをずっと気に病んでいた。
相手が望むように、または自分が相手にそう思ってもらいたいから、このひとにはこの部分は見せられない、今ならこんな私でいるべき…
状況を読むことが上手ではない。それなのにその時どきでひかりを当てる部分を変える。
しだいに自分が立ち戻るべき場所がわからなくなった。
天真爛漫、と成績表に書かれたけど、わたしのそれは仮面だ、といつも思っていた。
こころのはんぶんは。
そして、もうはんぶんはえへ。って照れてたけど。

でも、なんとなく、それでいいんだなあと思った。
きっかけは読んだ本のことば。
正確な文章は忘れた。
あ、と突かれて、それからじんわり肩の力が抜けた。
いっこ呪縛がとけたぞ、とやわらかく息をする。

わたしとわたしの友達ひとりひとりのあいだで、どんな部分が受け入れられたり、にじんだり、あんまり聞こえなかったり、もうことばじゃなくてもいいやって思えたりするかなんて、ひとつとして同じじゃない。
関係は手中になんかおさまらない。
それ自体が生きているんだし、わたしがのぞむのもそういう種類のもの。

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なんだかむずむずする。
泣き出したいような、駆け出したいような、叫び出したいような。
水のなかで大きな声をだしたらそれは抜けてゆくだろうか?
それとも骨のなかに留まってしまうかな?

ビョークみたいに超音波を発することができたらどんな気持ちだろう?

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写真はイーストサイドギャラリーの一部、東ドイツから西ドイツをのぞいたところ。