* よおく見る



ちゅんが何を考えているのかが分かるよりももっとたくさん、ちゅんは私が何をしようとしているのかを知っている。
ずっとわたしのことを見ているから。

もっとその場を盛り上げていかなきゃ、と呑みの席で久しぶりに会ったIさん。
そうですよね、そうしたいんだけど。
面白いことを言えないひとはその場を見ていないからだよ、と、ふざけながらもずばりと言う。
わかるでしょう、自分勝手なひとは面白くないでしょう、と。
うわあ、そうだ。ほんとにそうですね…それはまさしく私だ、と考え込んでいると、ほら。間を空けない!とダメだしされる。
今度うちのかみさんと3人で呑もう。面白いから。
可愛がってくれているのか、ダメなヤツ!とからかっているのか、わからないけど。

わたしにも理解できる能力がないわけじゃない。
ちゅんの行動がわかるもの。
興味を、しずかに慎重に、誠実に注げないだけなのだ。